河瀬です。
いつも子どものレッスンの事ばかり書いているので本日は大人のレッスンについて。
大人のレッスンの場合、課題曲を選ぶ際は生徒さんが好きな曲をお勧めしているのですが、実は音楽療法的な理由があります。
好きな音楽はその人の心理状態に関係しています。
特に、今日は、今は、この曲が聴きたい、というものはその時の心理状態が快いと感じる心的要因がその音楽の中に必ずあります。
好きだと感じる音楽にはその人の心的欲求要素が含まれている事が多く、その欲求を満たす、鎮めるという「カタルシス」作用があります。
「カタルシス」は精神浄化という言葉で表される事もあるのですが、気持ちがスッキリする感じです。
「カタルシス」は観劇、映画鑑賞、文学作品を読む事でも得られますが、音楽は聴く、観るという受動的な活動だけでなく、弾くという能動的な活動が出来る為、更に強い心的作用が得られるとされています。
そして、自分が演奏する場合、誰かが作った音楽よりも更に自分の心理状態に近い音楽に出来る為、より心的欲求に合った音楽を作る事が出来ます。
もちろんそのためには音楽的なテクニックが必要なのですが。
そういった目的で音楽の練習をするのであれば、音楽の練習は自分の心に近づく練習といえるのではないでしょうか。
心理学的にはストレスに関して、自分の心理状態を正確に把握出来ていない事が問題になります。
なんだかモヤモヤする、イライラするといった曖昧な状態をただ時間が過ぎるのを待っているだけでは対処としては運任せになってしまい、原因が継続的な場合、状態が改善されない事が多いとされています。
ストレスの原因が分かっている場合でもどうしてその原因がストレスと感じるのか、といった詳細な心理的プロセスを把握していないと
「しょうがない」という諦めでその場を収めてしまいます。
対話によるカウンセリングでは自分の気持ちを話す事で自分の心理状態を正確に認知してもらい最終的にはスッキリと納得いく心理状態を探すのですが、音楽によるセラピーも同じ状態を目指しています。
「音楽療法をする」という明確な目的でレッスンをするのであれば個人に合わせた詳細なプログラムが必要ですが、普段のレッスンにおいて音楽療法的な意味を見出すとするならば、好きな曲を演奏する時、その曲はその人の心理状態をケアする為に存していると言えるのではないでしょうか。
人前で愚痴をこぼしたり怒鳴り散らしたり泣きじゃくる事が出来ない大人の皆さん、音楽が待ってますよ。
※写真は年末に勉強していた成果です。